コラム
直接取引は後払いか前払だけ?第三の選択肢とは

記事の要約
- 直接取引の支払いは「後払い」と「前払い」だけではありません
- 後払いは受注者、前払いは発注者にそれぞれ不安があります
- 第三者に代金を預ける「仮払い」という方法があります
- 仮払いは、どちらか一方だけがリスクを負う状態を減らす仕組みです
- 初取引や高額な仕事など、少し慎重になりたい直接取引にも使えます
直接取引のお金、後払いと前払いだけでいい?
仕事の条件も金額も決まった。あとは仕事を始めるだけ。
そんなとき、ふと気になるのがお金のことです。
「納品後にお支払いします」と言われれば、受注する側としては少し不安が残ります。とはいえ、「では全額を先に振り込んでください」とお願いするのも、なんとなく言いづらい。
直接取引をしたことがある人なら、似たような感覚を持ったことがあるのではないでしょうか。
後払いなら、受注者が先にリスクを負う
たとえば30万円のWeb制作を受注したとします。
「納品後に30万円を支払います」という条件なら、制作者は先に30万円分の仕事をすることになります。
もちろん、ほとんどの取引ではきちんと支払われると思います。それでも、初めての相手だったり、金額が大きかったりすると、「本当に支払ってもらえるだろうか」と少し考えてしまうものです。
これは相手を疑っているというより、まだ相手のことをよく知らない以上、自然な感覚ではないでしょうか。
では、前払いなら安心なのか
今度は発注する側から考えてみます。
「仕事を始める前に30万円を全額振り込んでください」と言われたら、こちらも少し不安になります。
まだ成果物を見ていない段階で30万円を渡すことになります。きちんと納品してもらえるのか、途中で連絡が取れなくならないか。発注者にも当然、不安があります。
つまり後払いでは受注者が、前払いでは発注者が、先に相手を信用してリスクを引き受けています。
どちらが正しいという話ではありません。そもそも片方だけがリスクを負う取引がフェアと言えるのだろうか、と考えることがあります。
第三者に「仮払い」するという選択
そこで、もう一つの方法があります。
仕事を始める前に、発注者が代金を受注者へ直接支払うのではなく、第三者へ一度預けます。
受注者は「代金が用意されている」と確認してから仕事を始める。仕事が終わり、発注者が確認したあとに、預けていた代金が受注者へ支払われる。
これが「仮払い」と呼ばれる仕組みです。
エスクローという言葉で呼ばれることもあります。
受注者にとっては「仕事をしたのに支払われない」という不安を減らせます。一方、発注者も成果物を確認する前に相手へ直接全額を渡す必要がありません。
その第三者は信用できるのか
私たちが運営する「カリバライ」も、この仮払いの仕組みを使ったエスクロー決済サービスです。
カリバライを作ったのも、直接取引では「仕事をしたのに支払われない」「先にお金を払って大丈夫だろうか」という、どちらか一方が抱える不安を少しでも減らしたいと考えたことがきっかけでした。
ただ、ここまで「第三者に預けるのは分かった。でも、その第三者にお金を預けて大丈夫なの?」と思った方もいるかもしれません。
それは当然の心配だと思います。特にカリバライのような、まだ広く知られていないサービスであればなおさらです。私たち自身も、初めて利用する方がそう感じることを理解しています。
カリバライは2023年からサービスを運営し、実際に仮払いから取引完了、報酬の受け取りまで利用していただいている方がいます。また、サービスの仕組みについては弁護士にも確認を依頼し、金融庁にも照会したうえで運営しています。
だからといって、「何も心配せず信用してください」と言うつもりはありません。お金を預けるサービスだからこそ、運営会社や仕組みを確認してから利用するのは当然のことだと思います。
知らない相手との取引を安心にするためのサービスなのに、そのサービス自体が不安では意味がありません。
だからこそ、私たちがこれから積み重ねていかなければならない信用の一つだと思っています。
信用しないためではなく、信用だけに頼らないために
仮払いというと、「相手を信用していないみたいで失礼なのでは」と感じる人もいるかもしれません。
でも、私たちは少し違う見方をしています。
相手を信用しないための仕組みではなく、お互いが「相手を信用するしかない状態」を減らすための仕組みなのではないかと思います。
初めて仕事をする相手。SNSで知り合った相手。スキルマーケットを離れて直接取引する相手。いつもより金額の大きな仕事。
少し慎重になりたい取引があるかもしれません。
そんなとき、後払いか前払いかの二択だけではなく、第三者への仮払いという方法もあります。
直接取引に、仮払いという選択肢を。
相手を信じることと、安心できる仕組みを用意することは、きっと両立できると思っています。
