コラム
個人経営者にとって最も頭の痛い問題とは?

記事の要約
- 売上が立つことと、お金が入ることは別の話
- 納品や契約が終わっても、回収できるまで取引は終わらない
- 未回収は利益の問題ではなく、資金繰りの問題になる
- 商売は「売ること」ではなく「回収すること」で成立する
売れたら終わり、ではない
マンガ『インベスターZ』の中に、印象に残る言葉がありました。
「経営者にとって最も頭の痛い問題は、代金の回収だ」
「代金回収まで完結してはじめて商売と呼べる」
という趣旨の場面です。
最初に読んだときは、少し意外でした。
経営者にとって大事なのは、新商品を作ることや、お客様を増やすこと、売上を伸ばすことだと思っていたからです。
でも、事業を続けていると、この言葉の重さが少しずつ分かってくる気がします。
売上が立ったことと、実際にお金が入ることは同じではありません。
請求書を出しても、まだ途中
仕事をしていると、納品した時点で一区切りついたような気持ちになります。
請求書を出せば、あとは入金を待つだけ。
そう考えたくなります。
でも実際には、そこからがまだ長いこともあります。
- 月末締め、翌月末払い。
- 場合によっては翌々月払い。
請求書を出しても、実際に口座へ入金されるまでには時間があります。
帳簿上は売上になっていても、手元のお金はまだ増えていません。
ここが、仕事をする側にとって大きな負担になる部分だと思います。
未回収は、資金繰りの問題になる
未回収のお金は、単なる「まだ入っていない売上」ではありません。
家賃、外注費、仕入れ、税金、生活費。
支払いは先に来ます。
売上があっても、入金されていなければ、その支払いには使えません。
これはフリーランスでも、個人事業主でも、一人法人でも、中小企業でも同じです。
売上があるのに苦しい。
利益は出ているはずなのに、手元にお金がない。
そういう状態が起きるのは、回収までの時間差があるからです。
代金の回収は単なる事務作業ではなく、事業を続けるための重要な仕事なのだと思います。経営している限り常にこのストレスを抱える事になります。
納品しても、入金まで終わりではない
フリーランスや個人事業主の場合、どうしても「納品」がゴールになりがちです。
- デザインを納めた。
- 記事を書いた。
- システムを完成させた。
- 動画を納品した。
そこで気持ちは一度終わります。でも、商売として見ると、まだ終わっていません。
入金されて初めて、その仕事は完了します。
これは冷たい考え方ではなく、仕事を続けていくために必要な視点だと思います。
良い仕事をすることと、その対価をきちんと受け取ることは、どちらも同じくらい大切です。
回収までを取引に組み込むという考え方
エスクローは、未払いを防ぐ仕組みとして語られることが多いです。
もちろん、それも大切な役割です。
ただ、今回の話に寄せて考えるなら、もう少し違う見方もできます。
エスクローは、代金の回収までを取引の流れの中に組み込む仕組みです。
仕事が始まる前に支払いの準備がされている。
納品や確認の流れと、支払いの流れが切り離されていない。
そうすることで、仕事をした側が「本当に入金されるのか」を最後まで抱え続けなくて済みます。
これは単なる未払い対策というより、商売を最後まで完結させるための仕組みに近いのではないかと思います。
商売は、回収まで含めて終わる
以前の私は、売上を作ることに意識が向いていました。
- 仕事を取ること。
- 納品すること。
- お客様に喜んでもらうこと。
もちろん、どれも大切です。ただ今は、それだけでは足りないとも感じています。
売上は立った。
納品も終わった。
でも、入金されていない。
その状態では、まだ商売は終わっていません。
「代金回収まで完結してはじめて商売と呼べる」
この言葉は、少し厳しく聞こえます。でも、個人で仕事をしている人ほど、早い段階で知っておいた方がいい言葉なのかもしれません。
売ることと、回収すること。
その両方がそろって初めて、仕事は次につながっていくのだと思います。
