コラム
フリーランス新法を理解している人はまだ少ない

改めてフリーランス新法
朝、メールを確認していると、フリーランスの契約や支払いに関するニュースが流れてきました。
ここ数年、「フリーランス新法」違反によるなんらかの罰則を受けたという企業の報道を見かける機会が増えています。
未払い問題や取引トラブルに関わる仕事をしていると、この法律について質問されることも少なくありません。
ただ、実際に話をしていると、
「名前は聞いたことがあるけれど、内容はよく知らない」
という声も多いように感じます。
今日は少しだけ、この法律について整理してみたいと思います。
フリーランス新法とは何か
フリーランス新法は、正式には
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」
という長い名前の法律です。
2024年に施行され、フリーランスと企業などの発注者との取引を適正化することを目的としています。
背景にあるのは、働き方の変化です。
フリーランスという働き方は、ここ数年で急速に広がりました。
副業やギグワークも含めると、日本には数百万人規模のフリーランスが存在すると言われています。
一方で、組織に所属しない働き方には、契約や支払いに関するトラブルが起きやすい側面もあります。
例えば、
- 契約条件が口約束のまま仕事が始まる
- 支払い時期が曖昧なまま業務が進む
- 一方的な報酬減額や支払遅延
こうした問題に対して、一定のルールを設けようというのが、この法律の目的です。
それでも、まだ認知は高くない
法律ができたとはいえ、現場ではまだ十分に認知されているとは言えないようです。
ある調査では、フリーランス新法の内容を理解しているフリーランスは約3割という結果も出ています。
また、建設業では約8割が法律を知らないという調査もあり、業界によってはかなり認知が低い状況のようです。
これはフリーランス側だけの問題ではありません。
発注者側でも、会社としては法律を知っていても、実際に取引を担当する現場の担当者が理解していないというケースは珍しくないように感じます。
制度が存在していても、日々の仕事の中で意識されなければ、なかなか実際の取引には反映されません。
法律ができても、現場は変わらない?
フリーランス新法に期待する声は多くあります。
一方で、「実際にはあまり変わっていない」という声も少なくありません。
連合の「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2025」では、法律施行後も「変わっていない」と感じている人が6割という結果が出ています。
ITフリーランスの契約実態調査でも、契約内容の多くが十分に書面化されていないという現状が指摘されています。
調査によっては、契約内容のうち3割以下しか書面化されていないというケースもあるようです。
もちろん、法律ができたばかりという事情もあると思います。
ただ、こうした数字を見ると、制度ができただけで現場がすぐに変わるわけではない、ということも感じます。
法律だけでは、すべては解決しない
法律があること自体は、とても大切です。
ただ、法律はあくまで「枠組み」です。
実際の取引は、日々の現場の中で行われています。
たとえ法律ができたとしても、
- 発注者が知らない
- フリーランスが知らない
- 知っていても強く言い出せない
という状況が続けば、制度は形だけになってしまう可能性もあります。
実際、「罰則が軽いのではないか」「取引停止を恐れて声を上げにくい」という意見もあります。
法律を作ることと、法律が社会に根付くことは、必ずしも同じではないのかもしれません。
もうひとつ大事な視点
フリーランスの話をするとき、つい「フリーランス側」の立場だけで考えがちです。
でも、よく考えると、フリーランス同士で仕事を依頼し合うこともあります。
「自分はフリーランスだから」と思っていても、友人や知人に仕事をお願いする時は、その瞬間、立場は発注者になります。
つまり、
- 受注者としての理解
- 発注者としての理解
両方を持つことが、これからの取引では必要になってくるのかもしれません。
制度と現場の間にあるもの
フリーランス新法は、取引の公平性を考える上で大きな一歩だと思います。
一方で、制度と現場の間には、まだ少し距離があるようにも感じます。
その距離を埋めるものが何なのか。
それは法律だけではなく、取引の仕組みや考え方なのかもしれません。
働き方が多様になるほど、個人と企業、個人と個人の取引は増えていきます。
そうした時代の中で、どうすればお互いが安心して仕事を続けられるのか。
フリーランス新法は、その問いを改めて考えるきっかけになっているのかもしれません。
