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コラム

未払いと向き合う中で、エスクローサービスを始めることになった話

未払いと向き合う中で、エスクローサービスを始めることになった話

エスクローサービスを立ち上げた背景

皆さま、はじめまして。カリバライ運営責任者の勝浦と申します。
このコラムでは、カリバライというサービスを作る中で考えてきたことや、仕事とお金について日々感じていることを、少しずつ書いていきます。

まずは、このサービスを形にすることになった背景からお伝えしたいと思います。

カリバライを立ち上げるにあたっては、周囲から「うまくいかない」「どうせ頓挫するだろう」といった声が少なくありませんでした。

それでもこのサービスを始めることにしたのは、フリーランスや小規模事業者にとって、報酬お金のトラブルが仕事を続ける上で避けて通れないテーマであるもかかわらず、立場の弱さから声を上げにくく、見過ごされている社会問題だと感じたからです。

こうした問題意識は、日々の仕事の中で少しずつ積み重なってきたものです。
私はこれまで、フリーランスとして仕事をする一方で、作業をする側・発注する側の立場も経験してきました。

その中でずっと引っかかっていたのが、
「仕事そのものではなく、仕事の“周辺”で起きる問題」です。

特に、お金の話。

  • ちゃんと仕事はしている。
  • やり取りも普通にできている。
  • 関係が悪いわけでもない。

それなのに、

  • 「支払いが遅れる」
  • 「確認したら、まだ処理されていなかった」

そんなことが、なぜか起きる。

言えば済む話なのかもしれない。
でも、実際にはそう簡単じゃない。

相手との関係性や、今後の仕事を考えると、強く言えないまま時間だけが過ぎていく。

心当たりがある人は、決して少なくないのではないでしょうか。

身近で起きた現実

実体験

この問題を「自分だけ」として捉えていた頃、身近で、もっと重い出来事が起きました。

親しい仲間が、未払いをきっかけに資金繰りに行き詰まり、最終的に廃業せざるを得なくなったのです。

能力が足りなかったわけでも、仕事が取れていなかったわけでもありません。

ただ、
支払われなかった
それだけの理由で、続けられなくなった。

その現実を目の当たりにして、未払いは遠い誰かの話ではなく、たまたま自分は未払いの経験が無いだけの話で、「明日は我が身」だと強く実感しました。

数字で見ると、珍しい話ではなかった

報酬トラブル

自分の経験則だけで判断するのは危険だと思い、改めて未払いの実態を調べてみました。

すると、フリーランスの約3割が未払いを経験し、そのうち約4割が、最終的に回収できていないというデータがありました。

※「フリーランス実態調査2020年(内閣官房)」「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021年(連合)」「フリーランス・トラブル110番の相談実績2022年(厚生労働省)」「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2020」」の複数回答による平均割合。

やはり、という気持ちと、思った以上に多いな、という気持ちが同時にありました。

よくある話としては、

  • 「口約束で契約書がない」
  • 「相手と連絡がとれない」
  • 「人づての紹介だから、強く言えない」
  • 「費用や時間の負担を考え、泣き寝入り」

こうした“あるある”が積み重なった結果、表に出ていないトラブルが相当数ある。

これはフリーランスに限った話ではなく、中小企業や個人間取引でも、同じ構造が見えてきました。

契約書や法律だけでは、防ぎきれない未払い

未払い対策として、真っ先に挙がるのが契約書です。
もちろん、契約書は大切ですし、私自身も以前より慎重になりました。

また、フリーランス新法取引適正化を目的とした法律(いわゆる旧下請法)など、未払いを防ぐための法整備も少しずつ進んでいます。
こうした法律は、一定の抑止力として機能しているのも事実だと思います。

ただ、それでも未払いがなくならないのが現実です。

たとえば、
支払い期限が明確に書かれていても「処理が遅れている」と言われてしまう。

書類やルールがあることと、実際に未払いが起きないことは、必ずしも同じではありません。

信頼だけに頼らない取引の形

エスクロー

すべてのトラブルを完全になくすことはできないかもしれません。
ただ、未払いが起きやすい状態で取引を続けている限り、同じ問題は何度でも繰り返されてしまいます。

仕事を始める前に「本当に支払われるか」を確かめる与信判断も、
フリーランスや小規模事業者にとっては、時間やコストの面で現実的とは言えないのが実情です。

だからこそ、当事者同士の信頼だけに頼らない形が必要になる。

取引の段階でお金の流れを整理し、第三者が間に入ることでリスクを分散できないか。
そう考えたとき、エスクローという仕組みが一つの選択肢として浮かびました。

エスクロー(escrow)とは売り手と買い手の取引代金を中立的な第三者に一時預けることで、代金と商品の交換を保証する仕組みの事です。

なぜ、始める必要があると思ったのか

働き方や取引の形は、大きく変わっているにもかかわらず、支払いの仕組みだけが、昔のままでトラブルがすごく多い。

  • フリーランスや個人事業主の増加
  • 個人間取引の一般化
  • オンライン完結の仕事の増加

今は、未払いが起きる可能性を抱えたまま取引をする時代ではなくなってきています。

  • 自分自身の経験
  • 身近で起きた現実
  • 数字として見えた実態

それらが重なった結果、「やる意味がある」と思えました。

それが、エスクローサービスを立ち上げることを決めた理由です。

フリーランスや小規模事業者にとって、未払いなどの報酬トラブルは深刻な問題です。
争うべきか、待つべきか、諦めるべきか。

本来は仕事そのものに向き合う時間が、トラブルで消耗していく。
そうした負担を「仕組み」で解決できるのではないか。

その問いから、このサービスは始まっています。

未払いを「どこかで起きている話」としてではなく、取引に関わる一人ひとりの問題として考えてもらえたらと思います。

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